MotoGPでは、その年のチャンピオンをどのようにして決めているのだろうか。
MotoGPをはじめMoto2、Moto3、F1などのモータースポーツは、ポイントによって年間チャンピオンが決定される。では、このポイントシステムはどのようなものがあるのか、どのように決めていくのかを見ていこう。
ポイントシステムはどう決まる?
MotoGPでは、レースが行われるたびに上位でゴールすると、各選手、チームにポイントが加算される。ポイントは次のように決められている。
順位(上)とポイント(下)
1位 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
25p | 20 | 16 | 13 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
1位を取ると25ポイント、3位なら16ポイントと加算されていく。シーズンが終わったとき、獲得したポイントの合計でチャンピオンが決定する。
1993年以降からこのポイントシステムになっているが、これまでポイントの付け方はいろいろ変化している。1949年にさかのぼると、10ポイントを上限とし5位までにポイントが与えられていた。1950~1960年代は8ポイントで6位まで、その後は10位までなどという具合だ。
今の状態はとりあえずキープされているが、今後変化する可能性もある。
ポイントシステムで獲得する3つのチャンピオンシップ

モータースポーツの花形はライダーだが、実はポイントは選手だけのものではない。バイクを走らせるためには様々な人々がかかわっており、バイクの技術やチームワークも評価の対象となる。ポイントの対象となるのは次の3つ。
ライダーズチャンピオンシップ 選手たちの王者を決める
コンストラクターズチャンピオンシップ マシンのチャンピオンを決める
チームチャンピオンシップ チームのチャンピオンを決める
ライダーズチャンピオンシップ
ライダーズチャンピオンは、レースで上位ゴールした選手に、前述したポイントが与えられる。1年の終わりに、ポイントの合計額が多いライダーがチャンピオンだ。一例として、2019年のシーズンをこなした、ライダーたちの合計ポイントを見てみよう。
ライダー | マシン | ポイント |
マルク・マルケス | ホンダ | 420 |
アンドレア・ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 269 |
マーベリック・ビニャーレス | ヤマハ | 211 |
アレックス・リンス | スズキ | 205 |
ファビオ・クアルタラロ | ヤマハ | 192 |
ダニロ・ペトルッチ | ドゥカティ | 176 |
バレンティーノ・ロッシ | ヤマハ | 174 |
ジャック・ミラー | ドゥカティ | 165 |
カル・クラッチロー | ホンダ | 133 |
ジャンニ・モルビデッリ | ヤマハ | 115 |
ポル・エスパルガロ | アプリリア | 100 |
ジョアン・ミル | スズキ | 92 |
中上貴晶 | ホンダ | 74 |
アレイシ・エスパルガロ | アプリリア | 63 |
フランチェスコ・バニャイア | ドゥカティ | 54 |
コンストラクターズチャンピオンシップ

コンストラクターとは、「建設者」「建造者」などの意味があり、レースの世界ではマシンを造って参加しているエンジニアチーム。つまりメーカーだ。
ポイントはバイクの性能を評価するもの。上位でゴールしたバイクにポイントがつけられ、ライダーの結果と比例する。2019年の合計ポイント結果は以下の通り。
メーカー | ポイント |
ホンダ | 426 |
ヤマハ | 321 |
ドゥカティ | 318 |
スズキ | 234 |
KTM | 111 |
アプリリア | 88 |
motoGPチームチャンピオンシップ
チームチャンピオンとは、ライダーたちが所属しているチーム全体のこと。
この場合のチームとは、マシンを自社開発するワークスチーム、ファクトリーチームと、ワークスチームから借りたり購入したりして参戦するプライベートチームの3種類がある。MotoGPに参戦するためのチーム全体が評価される。
通常、1メーカーにつきライダーは2人いることが多い。選手2人に与えられたポイントを合計した数が、チームポイントとして加算される。それをシーズンごとに合計して、多いチームがチャンピオンになる仕組みだ。
ちなみに、メーカー(チーム)に選手が1人の場合、その選手の獲得ポイントのみが加算される。2019年のポイント結果はこのようになっている。
ワークスチーム | ポイント |
Repsol Honda Team | 458 |
Ducati Team | 445 |
Monster Energy Yamaha MotoGP | 385 |
Petronas Yamaha SRT | 307 |
Team SUZUKI ECSTAR | 301 |
Pramac Racing | 219 |
LCR Honda | 210 |
Red Bull KTM Factory Racing | 134 |
Aprilia Racing Team Gresini | 106 |
Red Bull KTM Tech 3 | 42 |
Reale Avintia Racing | 32 |
このように、カテゴリ別にチャンピオンが決められていく。ライダーとコンストラクターは、ほかにもMoto2(250㏄クラス)、Moto3(125㏄クラス)でも適用され、同じようにチャンピオンが決定される。
ポイントシステムから3カテゴリで取れると「3冠王」

もしポイントが同数の場合は、シーズンごとの優勝回数や2位の回数などを比較して決めるか、それでも同数になる場合は、最高位に達した日付を比較して、直近のレースで優位であったほうが勝者となるシステムをとっている。
そして、3つのチャンピオンすべてを制覇することを「3冠王」と呼んでいる。
上記の表から見ていくと、2019年のライダー・チャンピオンはマルク・マルケス、コンストラクターズチャンピオンはホンダ、チームチャンピオンはRepsol Honda Teamということで、まさに3冠王となったわけだ。
ホンダはそればかりではなく、2002年からコンストラクター部門で12度もタイトルを獲得している。
マルク・マルケスの天才的な走りとホンダの勢いは止まらない。ホンダチームは今後も記録を残していくのだろうか。
MotoGPのポイントを知っておくと見る楽しみも変わる

レースを観戦しているとき、選手やチームがよい成績を出してもいまいち盛り上がらなかったり、2位だったのにみんなが喜んでいたりする。それにはポイントシステムによる計算があるからだ。
こうしてポイントが「ある・ない」を知るだけで、改めてポイントの重要性が分かる。お気に入りの選手やチームがいたら、シーズンごと、1年ごとに応援してあげよう!
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