motoGPの予選がどのように行われているかご存じだろうか。motoGPにはほかのスポーツ同様、予選まで様々なルール(レギュレーション)に基づいて行われている。これは毎年見直され、選手、メーカー、チームは調整しながらレースの戦略を立てている。
ルールには結果に大きな影響を及ぼすものから、「そんなことまで?」というルールもある。今回は、ルールやレースまでの流れを見ていこう。
3クラス、それぞれに予選からルールがある
レーシングの花形といえばmotoGPクラスになるが、motoGPは3つのクラスに分かれて行われる。それぞれダイナミックさが異なり面白い。タイプが異なるため、当然ルールも異なってくる。
・motoGPクラス(500㏄)
・moto2クラス(250㏄)
・moto3クラス(150㏄)
世界最高峰・MotoGPクラス

motoGPは、最高速が340km/h以上。エンジンは200馬力以上となる専用のオートバイで争われる。参加するメーカーは日本がHonda、ヤマハ、スズキの3メーカー、そしてイタリアのドゥカティとアプリリア、オーストラリアのKTMだ。
ではルールの内容を見ていこう。
ルール1.エンジン
シーズンが年間20戦以下の場合には、エンジンは1選手あたり7基まで。これだけでフリー走行、予選、決勝レースの過酷な状況すべてを戦わなければならない。
ただし、「コンセッションポイント」というものがあって、新参で優勝経験のないメーカーには9基までの使用を認める優遇措置がある。既存メーカーはテスト日数の制限や開発不可などが設けられているが、新興メーカーはそれも自由だ。
なんだかズルい気もするが、そうすることで新興メーカーは上位に食い込むチャンスが生まれ、既存メーカーはライバル出現による戦闘力の向上につながる。
チャンピオンシップレースの緊張感が増し、メーカーの開発や成長を促進するほか、エンターテイメントとしても盛り上がるという狙いがあるのだ。

ルール2.タイヤ
公式タイヤは通常1社提供で、現在はミシュランタイヤを使うことが前提だ。それぞれのクラスでミシュランが種別要件や本数を定めて供給する。
レースでは世界各国の様々な気象条件の下で行われ、雨で濡れたり、暑くて乾いていたり、路面のコンディションは様々。レースの「足」となるタイヤは結果に大きな影響を与える。
ルール3.ECUソフトウェア
2016年からは全チームに共通のECU(エンジン・コントロール・ユニット)使用が定められている。マシンのエンジンを制御するソフトで、2013年頃は各メーカーで独自のコンピューターを使っていたが、メーカーの格差を取り除くために全車両同じものの搭載が義務づけられた。
同じマシン、同じ条件で走る Moto2クラス

moto2クラスでは、全員が同じエンジン、タイヤを使うことが条件。Hondaの市販車「CBR600RR」のエンジンをレース用に改造したものが供給され、タイヤもダンロップの1種のみ。メンテナンスはオイル交換や燃料系、電子システムなど外側部品のみで、改造は不可となっている。
若いライダーの激戦レース・Moto3クラス

このクラスは「ライダー育成」の要素が強く、参加資格年齢は16歳からとなっている。条件や能力が同格であることから、抜きつ抜かれつの激しいバトルが展開されるクラスとなっている。
MotoGPで活躍している選手も、初めはここからスタートする。ここで成績を残すことでMoto2、MotoGPにステップアップしていくことができる。
その他のルール
年齢制限がある
motoGPそれぞれのクラスでは、年齢に上限・下限が設けられている。
motoGPクラス 18歳~50歳
moto2クラス 16歳~50歳
moto3クラス 16歳~28歳
パフォーマンスにもルール!

勝利した選手が旗を掲げて走行する光景があるが、ここでもルールがある。コースの安全な場所で行うこと、終了後も安全を確認してコースに戻るよう規定が設けられている。
ライダーたちにとっては歓喜の場だが、「ゴールラインで邪魔をしてくれるな」ということで、安全性の面からも重要なのだ。
いよいよMotoGP本番!予選から決勝までのルールの流れ

大会レースは3日間で行われる。
1日目 フリープラクティス(フリー練習) 60分
2日目 午前中 フリープラクティス 60分 + 午後 予選1・2 各15分
3日目 午前中 ウォームアップ + 午後 決勝
フリー練習内にタイムを測定し、その結果によって2グループに分けられる。
グループ1 ・予選上位10位
グループ2 ・それ以外のグループ
予選1回目ではまず下位のグループが予選を実施。そこで1位、2位を獲得したライダーが予選上位グループにグレードアップできる。
予選2回目は、上位12チームで行われる。ここで出たタイム順にスターティンググリッド(スタート位置)が決まる。そして最終日、3日目に決勝が行われるという流れだ。
予選から公平と安全のためのMotoGPルール

motoGPをはじめモータースポーツは、マシンの公平性や安全性が大切になってくるため、ルールは常に見直されている。様々な条件の中で、選手たちがしのぎを削っているのだ。
大会期間中、選手は好きなだけ練習をできるわけではなく、休憩時間なども決められている。
予選の時間にしても15分だが、練習からすでに争いが始まっており、様々な駆け引きが行われている。観戦するファンにとっては決勝も大事だが、予選もかなりの緊張感があり見逃せないプロセスとなっている。
実際にレース場に足を運ぶことができたら、ぜひフリープラクティスから楽しんでみよう!
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