2019年に最高速度の新記録が更新された。イタリアのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手で、356.7 km/h。彼自身の最高記録を塗り替えている。
MotoGPのライダーたちはどのくらいの速さで走っているのだろうか。 今回は、ライダーたちの最高速度についてみていこう。
MotoGP 最高速度ベスト5

MotoGPでの記録を分かる範囲で示すと、以下のようになる。これはフリープラクティス(練習)、予選での記録も含まれている。今回のドヴィツィオーゾ選手の356.7 km/hも、フリープラクティスで出した記録である。
結果としてトップ5は以下のようになった。
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ) ムジェロ 2019 356.7 km/h
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ) ムジェロ 2018 356.5 km/h
ダニロ・ペトゥルッチ (ドゥカティ) ムジェロ 2018 355.8 km/h
ミケーレ・ピロ (ドゥカティ) ムジェロ 2018 355.2 km/h
アンドレア・イアンノーネ (ドゥカティ) ムジェロ 2016 354.9 km/h
トップ2の差はわずか0.2km/h、ダニロ・ペトゥルッチ選手との差でも0.9km/hという僅差だ。
マルク・マルケス選手も、昨年カタールで352.0km/hの最高記録を出している。ホンダ以外は、すべてドゥカティのマシンだ。
最高速度を持つのはドヴィツィオーゾ選手

初めてMotoGPの最高速度が300km/hを超えたのは、2015年。アンドレア・イアンノーネ選手がフランスで316,6 km/h、日本で314.3km/hという記録を出している。
実はこの年、バレンティーノ・ロッシ選手とマルク・マルケス選手の接触事故がいくつかあり、ロッシ選手がスポーツ仲裁裁判所への仲介を訴えたほどに論争が繰り広げられてしまったため、こうした快挙があまりピックアップされていない。
その後、カル・クラッチロー選手やエクトル・バルベラ選手なども記録を出していった。
今度は2016年、再びアンドレア・イアンノーネ選手が350km/hを超え、次いでミケーレ・ピロ選手が355.2km/h、ダニロ・ペトゥルッチ選手が355.8km/h、そしてアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が356.5km/h、356.7km/hを記録。
ドヴィツィオーゾ選手のスピードとマシンを操るテクニックは、ヨーロッパでは高い評価を受けている。
ドゥカティのマシンはスピードが出やすい半面、コーナリングなどの操縦が難しい。これをうまく使い分けられる選手だからこそ、最速の記録を出すことができるのだ。
最高速度を出しているコースとドゥカティ

ムジェロのサーキット場は、左コーナー6つ、右コーナー9つの15のコーナーがあり、切り返しのコーナーが多く難しい。
それでも世界のサーキット場としては2番目に長いストレートコースがあるため、記録を出しやすいといえる。
レースチャンピオンではホンダが強いため、評価を受けにくいが、実はマシンのスピードではドゥカティがダントツだ。
2020年もライダーのアンドレア・ドヴィツィオーゾとダニロ・ペトルッチの体制で挑み、年明けには最新型のMotoGPマシン、デスモセディチGP 20を発表している。
フェラーリをも超える超高速

2019年時点で、F1の最高速度が370Km/h、フェラーリの最高速度は340Km/h。新幹線「はやぶさ」の最高速度は320Km/hだ。
短いコーナーだが、この速さを2輪車でやるというのは、どれほどのスピードを感じるものか想像もできない。MotoGPはポイント制のため、最高速度を記録してもチャンピオンになれるわけではないが、評価されるべき1つの指標といえる。
速さはマシンとライダーの技術によって実現する。どちらか一方だけのテクニックでは成立できないのだ。
スピードの世界における選手たちの評価
ちなみに日本でもファンの多い、バレンティーノ・ロッシ選手の最高速度は298Km/h。
これは2013年、シャーロット・モーター・スピードウェイにおいて、カイル・ブッシュがNASCARネイションワイド・シリーズで使用するストックカーのテストドライブを行ったときに出した記録のため、今回のランキングには含めていない。
彼はヤマハだが、ドヴィツィオーゾ選手を高く評価しており、またマシンにおいても、直線でのパフォーマンスにはドゥカティとの差を感じていると漏らしている。
0.001秒でも差が出る世界、その緊迫感がファンを魅了するのだろう。
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