MotoGPのライダーが乗っているバイクは、レースを350Km/hレベルで切り抜く戦闘力を備えているため、当然ながら公道では走れない仕様になっているが、それだけに使っている部品やシステムは一般のものとは異なる。
そんなライダーたちの乗っているバイクの値段は、一体どれくらいの価値があるものなのか一緒に見ていこう。これを知るとレースの緊張感がさらに高まるはずだ。
MotoGPマシンにかかる値段
結論から言うと、MotoGPで使われているマシンの値段は、100万ポンド(1億3,000万円以上)はすると言われている。
もちろんこれは最低値であり、マシンのみに特化した値段だ。実は同じレースに出場していても、メーカーによってマシンの値段はかなりの格差がある。それでも最低1億円以上と聞くだけで、一般に手に入れられる金額でないことはお分かりいただけるだろう。
MotoGP マシン、部品別の値段

それでは、部品ごとの値段はどのくらい必要としているのか。マルク・マルケス選手のマシン、「Honda RC213V」にかかる大まかな値段を調べたものを見ていく。実際の金額ではなく、あくまでも参考までの値段として考えていただきたい。
・エンジン 約200万ユーロ(約2億4000万円)
エンジンの値段は、だいたい200万~250万ユーロだと言われている。これは1年を1シーズンとして、1チーム(1人のパイロット)にかけるエンジンの値段になる。
・ブレーキ(キット) 70万ユーロ(約9000万円)
国際モーターサイクリズム連盟が示す規定によると、MotoGPのフロントブレーキは、3ペアのキャリパー、10カーボンディスク、28パッドで構成されたキットを使用する。
これがマシンに使用される「ブレーキシステム1式」ということになるが、これはだいたい70万ユーロ。これに付加価値税(日本の消費税のようなもの)がかかる。
1シーズンで不足する可能性もあり、補充されることがある。最低限の金額だ。
・タイヤ 120万ユーロ(約1億4,000万円)
マシンに2番目にコストがかかるのはタイヤで、1シーズン120万ユーロくらい。これは専用の技術者の人件費なども含まれている。
タイヤはミシュランからすべてのメーカーへ提供されるが、正確な数値は公開されていない。
レースごとに管理や輸送費、情報収集のための科学者やエンジニアなど、様々なコストがかかっており、一般販売されているように、セットでの価格やタイヤそのものの価値とはまた異なる。
技術開発にもコストがかかっていると考えれば分かりやすいかもしれない。

・電子システム 10万ユーロ(約1,200万円)
これはセンサーや計器板、ケーブルなどが含まれており、約10万ユーロくらいだと言われている。
・外観に必要な素材 4,000ユーロ(約48万円~)
ほかにもフレームや補強材のほか、リム(タイヤのフレーム煮なる部分)は1大会ごとに4,000ユーロかかる。
MotoGPのマシンは新興メーカーでも投資額は億単位
これらを合わせると、約330万ユーロ(約3億9,000万円)となる。
もちろん、これはマルク・マルケス選手のホンダ車にかかる金額の目安である。一番コストのかかっている事例と言えなくもない。実際には15億円とも言われているが、正確な情報は掴みにくいのが現状だ。
実際には、新興メーカーでもMotoGPへの投資額は800万ユーロ(約9億6,000万円)、チャンピオンクラスのメーカーになると、3,000万ユーロ(約36億円)にも上ると言う。
マシン事故による損失の値段

事故による修理代も必要になる。もし転倒した場合、軽微であればノブ、フットレスト、リアブレーキコントロールの交換で1万5000〜2万ユーロ(200万円前後)の範囲。
転倒が激しい場合は、リム、ブレーキディスク、サスペンション、ラジエーター、センサーの間で10万ユーロ(1,000万円以上)の費用に相当する。
もちろん、選手の安全が第一であり、選手が無事でいられるなら大きな金額ではない。彼らの安全を守るつなぎ、エアバッグ、ヘルメットなど、これはまた別の経費だ。
また、チームにかかる値段というものもある。
ライダーが所属するメーカーのチーム(ワークスチーム、ファクトリーチーム)だと平均50人、プライベートチームだと平均30人、エンジニアや整備士などの人件費などもある。ただこれは、マシン本体の値段とはまた別のテーマになるため説明は省く。
MotoGP、マシンへのあこがれと値段

公式な金額は公表されていないため、正確なところは分からないが、マシンの価値の高さを実感していただけただろうか。
価格そのものを、高い・安いという価値観で考えるのはナンセンスかもしれないが、選手やチームたちの苦労、レースにかける重みを理解する目安になるだろう。
一般の私たちがMotoGPのマシンを手に入れることはないが、公道用マシンでMotoGPの技術を搭載したものも販売されている。バイクマニアにはたまらないスペックだが、こちらのマシンは250万円~1,500万円台くらいまであるようだ。
手に入れるのは簡単ではないが、様々な性能が取り入れられていて見ているだけでも興味深い。
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