MotoGPのマシンについて、各メーカーが2020年のスペックを紹介している。
2002年、MotoGPレギュレーション変更により、990cc4ストロークマシンと500cc2ストロークマシンの使用が許可された。それに伴い、各メーカーがそれに合わせて新しく開発し、今日のマシンのベースを作っている。
メーカー別の誕生や戦績、スペックを見ていこう。
MotoGP マシンのスペック、ホンダ・RC213V

水冷4ストローク V型4気筒エンジン
2002年のレギュレーション変更に合わせて誕生したマシン。初期のRC211Vから、V4エンジンにこだわっている。
2001年~ RC211V ホンダレーシングチームによって開発
2007年 RC212V エンジン排気量の上限が990ccから800ccに変更され改良
2012年 RC213V エンジン排気量の上限が1000ccになり改良
「RC」はHondaの4ストロークグランプリマシンを意味し、「211」は21世紀におけるグランプリマシンの1代目、「V」は5気筒の5を示すV型エンジンとVICTORYの意味。
2017年、2018年、2019年はライダー・コンストラクターズ・チームとも3年連続で3冠を達成という記録を出している。
MotoGP マシンのスペック、ヤマハ・YZR-M1

水冷4ストローク並列4気筒クロスプーンエンジン
こちらも2002年のレギュレーション変更に合わせて誕生したマシン。ヤマハは直列4気筒を採用している。
2002年 YZR500(2ストロークV型4気筒エンジン)の後継として開発。
2004年 開幕戦優勝・シーズンチャンピオン獲得
2005年 連続チャンピオン獲得
デビュー当時は、ホンダ・RC211Vを超えることは難しいとされていた。しかしバレンティーノ・ロッシ選手とエンジニアの緻密な努力で開発・改善・分析を重ね、開幕戦優勝を飾り周囲を驚かせた。
その後バレンティーノ・ロッシ選手、ホルヘ・ロレンソ選手らの活躍により世界タイトル7つ、優勝回数は101を獲得している。ロッシ選手は、2005年型のM1がこれまでのマシンの中で最高傑作であったと語っている。
M1は、「Mission」の頭文字と「ナンバーワン」を表している。開発した技術を市販車に活かすこと、MotoGPのチャンピオンになるという使命(Mission)だ。
MotoGP マシンのスペック、SUZUKI・GSX-RR

4ストローク並列4気筒エンジン
2014年 デビュー
2015年 マーベリック・ビニャーレス選手を起用しMotoGPクラスに参戦
2016年 エンジンを改良して新スペックを公表
2020年 カラーリングを一新し公表
それまで、他メーカーに比べ弱点となっていたギアボックスは、完全シームレスシフト化され戦闘力が向上。第12戦イギリスGPでビニャーレス優勝、3位表彰台に上る好成績を残している。2020年はアレックス・リンス選手、ジョアン・ミル選手を起用している。
MotoGP マシンのスペック、アプリリア・RS-GP

水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ
逆回転クランクシャフトを特徴としている。
2015年 RS-GP誕生
2016年 デビュー ランキング6位
2017年 エスパルガロ選手 ランキング6位
2019年 オーストラリアGPでアンドレア・イアンノーネ選手が6位。
2020年は、RS-GPの新型をアップデート。75度のV型4気筒エンジンから、日本メーカーと同様の90度V4エンジンを搭載していると見られている。
今回は、アンドレア・イアンノーネ選手の停止処分など苦しい状況に置かれているが、SBK選手のロレンツォ・サバドーリ選手が参加予定となっている。
MotoGP マシンのスペック、ドゥカティ・デスモセディチ

4ストローク並列4気筒エンジンを得意としていたドゥカティは、MotoGPが500cc時代、2ストロークV型4気筒エンジンを使っていたため、スーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦していた。
2001年 規定変更により2ストロークV型4気筒エンジンでMotoGPに参加を表明。
2003年 日本GPでデビュー ロリス・カピロッシ選手3位、カタルーニャGPで優勝
2004年 コンストラクターズランキング3位
2007年 コンストラクターズ1位 ケーシー・ストナー選手がチャンピオンを獲得
その後はコンストラクターズランキング2位~5位となっている。
エンジンは4ストローク1000㏄のL型4気筒16バルブ。バルブ開閉機構に一般的なスプリングを用いず、デスモドロミック(強制弁開閉式)を採用。
バルブ開閉機構部の「デスモ」、イタリア語の16(セディチ)バルブを合わせて「デスモセディチ(Desmosedici)」という名称になった。
MotoGP マシンのスペック、KTM・RC16

水冷4ストローク4気筒
2017年 初参戦 それまではダカールラリーなどで実績を上げてきた。
2018年 バレンシアGPでエスパルガロ選手により初の3位表彰台
MotoGPに参戦してまだ間もないが、チームは5年計画でトップを目指している。マシンのフレームなど独自のこだわりを持つ。2020年は、Moto2クラスでランキング2位のブラッド・ビンダーを起用して臨む。
マシンのスペックは努力の結晶

マシンはもちろん、エンジンだけではない。近年話題になっているウイングレット、シャーシ、タイヤから細部の部品などはもちろんだが、ライダーのためのマシンを作ることがチームの使命だ。
そしてMotoGPが設ける、レギュレーションに合わせたマシンを作らなければならない。選手のためのマシンを完成させても、次の年には変更を余儀なくされ、メーカーやワークスチームの努力は計り知れない。
RC213Vは、公道用にRC213V-RSとして販売されているが、ホンダのバイクとしては最高額で、約2200万円となっている。購入できる人は限られてくるが、マシン好きにはたまらないスペックだ。
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