モータースポーツといえば、メーカーは日本、ライダーはイタリア、スペインなどのヨーロッパ勢が注目されている。
アメリカではどうだろうか。1978~1980年にかけて、500㏄時代にチャンピオンとなったケニー・ロバーツ、MotoGPやスーパーバイクで成績を残したニッキー・ヘイデンなどが思い浮かぶ。
どの国でもチャンピオンを生み出すのは大きな希望だが、Moto2に参戦しているアメリカン・レーシング・チームは、MotoGPライダー育成プロジェクト「Ohvale Racing Team(オーベイル・レーシング・チーム)」の発足を発表した。
若者育成のオーベイル・レーシング・チーム
アメリカン・レーシング・チームは今年、Moto2でジョー・ロバーツが良い活躍を見せ、注目されているが、新たにモータースポーツの育成を目的とした、レーシング・アカデミーを立ち上げたと発表している。
子供たちがモータースポーツに触れ、成長する機会を提供しながら、長期的な計画で次世代のチャンピオンライダー育成を行うというもの。
現在、4名の子供たちがプログラムに参加しており、それぞれにパーソナル・トレーナーがついている。トレーニング施設とトレーニング用サーキット場を開放し、年間計画に沿って学んでいく。
そしてアメリカ国内で行われているモト・アメリカ・ミニカップへの出場機会も提供されるという。まだ始まったばかりだが、今後も様々な年齢の子供たちを特定・採用して取り組んでいくと述べている。
トレーナー、ジョン・ホプキンスとは?

この計画をすすめているのは、アメリカン・レーシング・チームのオーナー、Eitan Butbul(エイタン・バトブル)氏と、アメリカのモータースポーツ界のスター、John Hopkins(ジョン・ホプキンス)。
ジョン・ホプキンスは1983年5月22日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州ラモーナの出身。両親はイギリス人だ。4歳からミニバイクを始め、成長してからはアメリカ国内チャンピオンとして有名な選手であった。
彼はユニークな経歴の持ち主だ。国外でのレース経験がないまま、2002年にWCM・ヤマハからルーキーとしていきなりMotoGPクラスへデビューしている。
しかもその後、移籍したスズキで、2007年に表彰台4回、ランキング4位にまで上り詰めた。
その後はカワサキ・レーシング・チームに移籍し、2009年も残留する予定だったが、カワサキのファクトリーチームが活動を休止したため、スーパーバイク世界選手権に参戦。2011年には、ランキング2位という輝かしい戦歴を残している。
目指すはモータースポーツの最高峰・MotoGP
彼はこのプロジェクトについてこう語っている。「アカデミーのコンセプトは、言うまでもなく若い才能の開拓。目標は、MotoGPクラスの選手に育てること」だ。
テクニックの習得だけではなく、全体的なサポートも行う。アメリカに限らず、どの若者にとってもこのスポーツが壁となるのは、経済的な理由だ。
ホプキンスは語る。
「僕の家族は、僕の夢のためにできる限りのことをしてくれた。でも、低所得層にはどうしても限界がある。その当時、個人が複数投資して運営していたアプリリア・カップ・チャレンジというアカデミーのようなものがあって、ここからサポートを受けた。」
「もしこのサポートがなかったら、MotoGPどころか国内レースだって参加できなかった。プロなんて絶対無理だった」
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そして、このように続けている。
「今度は、僕がサポートをする番。若くて才能のあるアメリカ人ライダーが育つことを期待しているよ。」
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アメリカ期待のルーキー、ジョー・ロバーツ

ホプキンスは、Moto2のジョー・ロバーツ選手の指導も行っている。
ジョー・ロバーツは、今年3月に行われたカタールGPの公式予選2でトップタイム、フリー走行2で自身が持っていたオールタイムラップレコードを更新し、アメリカ人としては実に10年ぶりのポールポジションを獲得した。
(ちなみに、ケニー・ロバーツの息子ではない。息子のケニー・ロバーツ・ジュニアはホプキンスと同年代で活躍し、WP500で年間王者になっている。)
ホプキンスは、ロバーツの成長を喜んでいる。彼に続く将来のアメリカ勢の活躍にも期待しよう!
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