MotoGPマシンが転倒したら、いくらお金がかかるのか?

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MotoGPのマシンが転倒した場合、いったいどのくらいのお金がかかってしまうのだろうか。

2019年シーズンでも、マルク・マルケス選手やホルヘ・ロレンソ(元)選手などが、スリップ・転倒などを起こしている。スピードが勝負の世界では、こうしたリスクを抱えているのも現実だ。

選手は当然だが、チームにとっての損失も考えていこう。もし、マシン1台が転倒した場合、部品の交換や修理でどのくらいのお金がかかるのか、チームにどのように影響するのだろうか。

MotoGPマシン、転倒すると損失はいくら?

MotoGPに参戦しているチーム・LCRホンダの英国人エンジニアが、HRCチームのカル・クラッチロー選手のマシンにかかる金額について、仏のメディアサイトで解説している。

彼のマシンをレンタルするのに、1年でおよそ200万ユーロ(約24億6000万円)かかっている。もちろんこれらは技術投資や人件費などもかかっている。

予算コストの中には、転倒などによるバイクの修理・部品交換も入れなければならない。ちまたでは、部品交換で2,000ユーロくらいなどという声もあるが、あり得ない話だという。

MotoGPマシンの転倒による部品交換の内訳

カル・クラッチロー選手

MotoGP・最高峰クラスで、バイク1台の転倒や事故による損出は、およそ15万ユーロから100万ユーロ(約800万円~1,200万円)かかると述べている。

もちろん選手が無事であること、大事故にならないことを祈るしかないが、HRCに1つ分のタンクやラジエーターなどの部品を損傷だけでその値段だ。

転倒などを起こしたマシンは、一見故障が見受けられなくても、多くの部品を変えなければならない。チームにとっては、金額と時間の両方に損失を受けることになる。

MotoGPで、マシンの「軽い事故」はあり得ない

MotoGPのバイクは、かなりの重量でありスピードも出るため、小さな転倒というものは存在しないのだという。だいたい前方がやられるとフェアリング、ハンドルバーの半分、カーボンパーツなどがほぼすべて損傷する。

カーボンブレーキディスクは、セットで10万ポンド(約135万円)。転倒したとき、砂利などが入り込んでディスクが破損している可能性があり、これは何があっても毎回必ず変えなければならない。

変更しないままだと、ブレーキが利かないなどの危険にさらされるからだ。

マグネシウムホイールは4,000ポンド(約53万円)、タイヤも交換する必要がある。モータースポーツにおけるタイヤは「足」であり、重要なパーツである。公式タイヤであるミシュランのタイヤは比較的薄いため、摩耗している可能性があるからだ。

電子部品にしても、10万円以下はない。

わずかな地面との接触でも、これだけのものが壊れてしまう可能性があるのだという。

マシンが転倒しても99%無事なのは?

もちろんMotoGPのバイクは、300km/毎で走るため機械としてはかなり複雑で精密であり、本体そのものにも多額のコストがかかっている。

それだけに、事故を起こしたときの経済的打撃はチームにとってかなり大きいというわけだ。

ただ、絶対に壊れないのはエンジンだという。どのような転倒でも、99.9%は交換が必要ない。MotoGPでは、シーズン中に使えるエンジンの数が限られているため、エンジンの保護は強靱にできている。

たとえマシンパーツの90%を取り替えなければならなくなっても、エンジンは無傷でそのまま使用できるのだという。実際に解説したMotoGPエンジニアも、転倒でエンジンを変えたことはないと述べている。

マシンの転倒から選手の命を守るMotoGPエンジニアたち

バイク1台にかかる値段は以前にも紹介しているので、ある程度の金額がかかることは想像できるが、一度のスリップや故障で大部分を修理・交換しなければならないとは驚きだ。

MotoGPマシンの値段はいくら?

あらゆるリスクを回避して、早いマシンにすることだけでなく、選手が安全に走れる状態にする、生命に関わる重い責任を背負っていることが分かる。

レース観戦しているとき、応援している選手が転倒するとハラハラするが、チームはもっとハラハラしているに違いない。

普段の努力まではなかなか考えが及ばないものだが、彼らの努力も含めて観戦しよう!

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